奨学金は繰上げ返済すると損? 返済より投資に回した方が得な理由

研修医向け

 

インデックス医です。

 本日は、奨学金の繰上げ返済について考えてみようと思います。

 平成30年の「学生生活調査報告」のデータによると、社会人1年目で奨学金の返済がある人は約5割のようです。

 奨学金は聞こえのいい借金ですので、約半数の学生が借金を背負ったまま社会に出るということになります。

 真面目な人ほど、奨学金自体が借金であるという理解だけがあるために、「借金は悪いもの」だから早く返済したほうが良いと考えて、生活を切り詰めてでも、奨学金をできるだけ早く返済しようと努力するようです。

 この「借金は悪」という刷り込みが日本人の経済の発展を妨げているのは間違いないでしょう。

 医学部を卒業した社会人1年目、つまり研修医1年目でも、奨学金の返済が必要な人も多いかと思います。

 研修医で社会人1年目としてはそれなりに給与が高いと、奨学金を繰り上げ返済してしまおうとする方がいるのですが、それは経済的に豊かになろうとする視点では間違っています。

 なぜ奨学金の繰り上げ返済はしないほうが良いのか、その代わりにどういった行動を取れば良いのかを具体的に解説していきます。

 早速見ていきましょう。

本日の結論

 ・奨学金の種類
 ・良い借金と悪い借金
 ・感情を除けば、奨学金は繰り上げ返済しなくていい
 ・繰り上げ返済する代わりにするべきこと

奨学金の種類

 まずは、奨学金にはどういうものがあるのか確認です。

 奨学金は大きく分けて3種類あります。

 ・給付型
 ・貸与型(利息なし)
 ・貸与型(利息あり)

 奨学金は借金と言いましたが、給付型だけは借金ではないですね。

 基本的に審査が厳し目の事が多いですが、給付型がもらえるのであれば、実質収入があるようなものです。
 今回はこの給付型を除いた貸与型について考えていきます。

 貸与型(利息なし)は、在学中に借りた金額をそのまま返せばいい、というものですね。

 通常、借金というのは利息によって貸主に利益が出る、だからこそ成り立っている側面があります。

 しかし、この利息なしの奨学金は自分が借りたぶんを時間をかけて返せばいいので、貸主側はメリットがありません。

 ですので、給付型と同様、審査は厳し目なことが多いですね。

 3つめの貸与型(利息あり)については、言ってしまえば普通の借金と変わりないですね。

 ただ、一つ大きく違う点は利率が非常に低いということです。

 ここ数年の奨学金の利率を出来る限り調べてみたのですが、高くても1%と、借金の利子としては非常に良心的です。

 現在は、日本全体として低金利ですので、今後どうなるかは分かりませんが、少なくともここ数年間は大きくは変わらない可能性が高いでしょう。

 この利子の低さが非常に重要ですので、奨学金の利子は1%以下が殆どで、これは利率としては低いんだと言うことを覚えておいてください。

 ちなみにクレジットカードのリボ払いの利率は実質15%程度が多く、これと比べると奨学金の利率の低さがわかりますね。

良い借金と悪い借金とは

 借金と聞くと、日本人の大半は何か悪いことをしているような感覚を持つ人が多いかと思います。

 しかし実際は、借金の中でも、急いで返済を終えた方が悪い借金と、借り続けていてもむしろ得をするようないい借金があります。

 簡単には、その借金で自分の資産を増やすことができるのが良い借金、逆に資産が減るのが悪い借金と考えれば良いと思います。

 日本人が人生でする借金は、今回のテーマである奨学金の他に、住宅ローンマイカーローン、場合によっては教育ローンでしょうか。

 これらのどの用途に使うと良い借金で、どれだと悪い借金ということではなく、それにより得られるリターンが借金以上にあればよい、という風に考えます。

 簡単には、住宅ローンで住宅を購入し、その住宅を元値以上で売却できれば、経済的にはメリットしかなく、良い借金をしたと考えて良いでしょう。

 ただ、基本的にだれでも簡単に出来る借金というのは、経済的にプラスになることはほとんどありません

 日本で新築住宅を購入して、その価値が上がることは相当立地のいい物件でなければ難しいですし、カーローンも同様に元値より高く売れる車を見つけるのは非常に難しいでしょう。

 良い借金をするというのは現実的には非常に難しいので、借金は悪いものというイメージが定着しやすくなってしまったのでしょう。

 もちろん消費者金融やリボ払いなど、非常に高い金利で借金をしてしまえば、それはほぼ確実に悪い借金になってしまいます。

 その中で、日本人に浸透している借金の中でも非常に良心的なのが、この奨学金と名のついた借金です。

奨学金は繰り上げ返済不要

 この奨学金というのは、基本的に高校や大学に進学し、授業料などに使うためのものですので、自己投資という意味合いはあります。
 借りたお金が直接的に増えることはないと思いますので、今回の定義で言えば「悪い借金」の方に当てはまってしまいます

 しかし、悪い借金だからといって、躍起になって早急に繰り上げ返済するのが良いこととも限りません

 繰り上げ返済というのは、もともとの返済予定に加えて、収入の増加やボーナスなどを利用してさらに上乗せで返済を進めることで、より短期間のうちに奨学金の返済をすることを言います。

 なぜこの繰り上げ返済を勧めないかというと、奨学金の返済に充てるより、投資に回すほうが実質的な利益が大きくなるからです。

 奨学金の利率は1%未満がほとんどです。
 インデックス投資によって資産が増加するスピードを平均3%程度と見積もると、繰り上げ返済するより、投資に回したほうが差分の2%を特に努力もなく得ることが出来ます。

 つまり、資産運用で期待できるリターンより、借り入れの利率が少ない場合は借金を急いで返すメリットは特にないということですね。

繰り上げ返済した方がいい人もいる

 奨学金を無理に繰り上げて返済することに経済的なメリットがないことをご理解いただけたかと思います。

 しかし、これは投資でその奨学金の利率以上の利益が出せることを前提にしています。

 インデックス投資で適切な投資対象に投資すれば、長期的には難しいことではありませんので、非現実的な話ではないのですが、
 ・投資はどうしてもしたくない人
 ・お金の問題ではなく、自分の精神的に借金があるのがどうしても落ち着かない人

 こういった人は、無理に投資するのではなく、奨学金を繰り上げ返済するというのも立派な選択だと思います。

 自分の性格と相談しながら判断するのが良いでしょう。

 自身の精神状態が安定していない時の投資は、いい結果は期待できませんので。

繰り上げ返済する代わりにするべきこと

 さて、繰り上げ返済をせずに、投資をしていくという人に気をつけてほしいことがあります。

 それは投資成績が奨学金の利率を下回ると意味がない、ということです。

 当たり前のことなのですが、これを忘れると痛い目をみます。

 このブログの題名どおり、私はインデックス投資を推奨しております

 適切な指標に連動した投資を行えば、長期でのインデックス投資(15年以上)なら、平均リターンはプラスになるというデータがあります。

 15年以上インデックス投資をすれば損をしないことを過去のデータが証明しているということです。

 これに基づいて、奨学金の繰り上げ返済より、インデックス投資に余った資金を投下していくことをおすすめします。

 そうすれば、「投資成績が奨学金の利率を下回る」ということはほとんどないでしょう。

まとめ

 ・奨学金は、給付型、貸与型(利息あり)、貸与型(利息なし)の3種類
 ・奨学金は利息があっても、1%以下と非常に低率
 ・資産の拡大につながるのが「良い借金」、資産が減るのが「悪い借金」
 ・無理に繰り上げ返済せずに、インデックス投資に回すほうが効率的
 ・精神的に落ち着かないなら、繰り上げ返済するのも一つの手段

 奨学金の繰り上げ返済に対する考え方は、住宅ローンやカーローンなどでも応用できます

 自分の性格にあったお金の借り方、返し方、そして使い方を身につけることも資産形成には非常に重要なことです。

 疑問点や質問、知りたいお金の知識などあれば、問い合わせフォーム、TwitterのDMでお待ちしています。

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