インデックス医です。
本日は、お金に関する本の書評です。Dr.K という医師が書かれた本で、やはり医師が書いている分、金融リテラシーを高めたい医師・医学生にとっては、非常に読みやすい1冊です。
内容に関しても、税金などの基本的なお金の話から始まり、勤務医と開業医どちらがよいかなど、医師特有の悩みに関しても言及されていて、非常に網羅性が高い本です。
ある程度金融リテラシーが高まっている人でも、医師特有のお金や働き方に関する悩みについて考え直すことができると思いますので、お金の基礎はわかっているという人にもおすすめです。
この本で学べる内容
・医師・医学生におすすめできるお金の基礎知識を学べる本
・解剖学でいう、イラスト解剖学のような立ち位置の本
→わかりやすく、大事な部分を取り出した感じ
例えが逆にわかりにくくしている気もしますが、お金に関わる全般的なことに対してわかりやすくかかれているのは非常に良かったです。これからお金のことを勉強する人にとっての初めの1冊にも良いでしょう。
・収入、支出の基本、節税、資産運用など幅広く学べる
・医賠責についても触れている
以前、【研修医は医賠責に入るべきか 医師賠償責任保険を比較してみた】という記事でも紹介しましたが、個人的には全医師が加入すべきなのが医師賠償責任保険、通称「医賠責」です。やはり医賠責は金銭的にも精神的にも加入していた方が良いでしょう。
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常勤か非常勤か
大学病院の医師であれば、いわゆる外勤という、アルバイトをしている方が大半でしょう。つまり、非常勤として、週1回程度の勤務を常勤先以外で行っているということ。この外勤を禁止すると発表して、世間で話題となった病院のニュースは耳に新しいですね。
それでは、常勤と非常勤のお金、具体的には税金に関する違いはご存知でしょうか。
簡単にいうと、非常勤先の給与には社会保険料がかからず、所得税と住民税だけ払えばいいのです。
例えば、常勤先1カ所で1200万円の年収がある場合は1年間で約171万円程度払っています。それが、常勤先と非常勤でそれぞれ600万円ずつの年収で合わせて1200万円の場合には、常勤先の600万円に対してのみ社会保険料がかかり、年間86万円程度になります。
つまり、同じ収入でも、非常勤先の給与には社会保険料がかからない分、手取りは多くなるのです。
医師の給与は、非常勤医師の方が高いという、システムエラーのような状態がずっと続いており、外勤の給与が占める割合が高い医師が多いです。
さらに、社会保険料も外勤での給与にはかからない、このような状態の中で、外勤を禁止することは我々労働者側には非常に大きな痛手となるのがわかります。
勤務医と開業医の違い
勤務医と開業医の違いについてもこの本では言及されていました。
勤務医より開業医の方が儲かる、年収が高いというイメージは医師共通のものだと思います。それはあながち間違っておらず、以下のようなデータがあります。
病院勤務医 | 平均年収1,456 万円(月約121万円) |
診療所院長(開業医) | 平均年収2,887 万円(月約240万円) |
※診療所院長(開業医)は個人・医療法人を含む開業医全体の平均年収
参考:厚生労働省 第20回医療経済実態調査の報告(平成27年実施)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/database/zenpan/jittaityousa/20_houkoku.html
この表だけ見れば、開業医になれば倍の年収をもらうことができるように見えます。確かに開業医であれば、自分次第では、収入は上限なく高めることができ、さらに経費も使えるようになり、お金への不安はなくなるように思えるかもしれません。
しかし、世の中そう甘いものではなく、開業医になると勤務医時代とは違った診療を求められたり(高度医療から町医者)、事務仕事が突然何倍にもなったりします。
さらに、開業するということはそのための場所を買うか、借りるという場所の準備や、人を雇って給与を払い続けるという、勤務医時代とは違った責任が出てきます。性格にもよりますが、ここにストレスを感じる医師は非常に多いようです
開業するとお金に関する自由度は高くなりますが、その分働き方が大幅に変わっていくことを受け入れられるか、この視点は開業前には必ず持っておいた方が良いでしょう。
選ぶ診療科は今考えているもので良いか
本の著者Dr.K は、専門とする診療科は興味だけでなく「働きかた」を考えて選ぶのがよいと言及されており、ここは私も同意見です。
以前、【初期研修終了後の進路を思いつく限り書き出してみる】という記事でも紹介しましたが、初期研修終了後には、いわゆる後期研修医以外の選択肢も無数にあります。
例えば、
・後期研修プログラムにのらない臨床医
・医系技官、保健所などの公務員
・一般企業への就職や産業医 などです。
この無数にある選択肢の中で、自分なりの基準を持って、進路を考えるのは非常に難しいことですが、自分だけでなく、パートナー、家族のことも考えながら、「働き方」を考慮して進路を選ぶのは非常に大切なことだと思います。
ただ、今の自分から最適解に見える選択肢というのは、10年後には確実に最適解ではなくなっています。それは自分のライフスタイルや、時代の変化など様々な要素が原因になります。
これを聞くと、どれを選んでもハズレのように思えるかもしれませんが、自分の選んだ選択肢を、最適解に変えていくことが、これからの時代では重要になります。
基本的に、今描いている理想通りの人生にはなりません。でも、理想通りじゃないから、楽しくない人生、というわけでもありません。
自分の進む道を自分で主体的に選んだ人が、幸福度が高いというような社会学的データもありますので、人任せ、流れ任せにせず、自分で選ぶことが重要です。
初めの1冊としておすすめの【若手医師・医学生のため誰も教えてくれなかったのおカネの話】
お金に関する基礎知識、そして医師特有のお金に関すること、キャリアの悩みなど幅広い学びのある本の紹介でした。
金融リテラシーを高めたい人にとっては、これは最後の1冊ではなく、最初の1冊のような立ち位置として読んでほしいです。
この本から派生して、税金や資産運用に関する知識を高めていけると、将来大きな財産になることは間違いありません。
他にもおすすめの書籍を紹介しています。
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これからもコツコツ学んでいきましょう。
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