研修医は医賠責に入るべきか 医師賠償責任保険を比較してみた

研修医向け

 インデックス医です。

 本日は医師賠償責任保険について、研修医は加入すべきなのか、加入するならどれがいいのか比較検討をしてみようと思います。

 医師賠償責任保険(医賠責)とは
 勤務医が、医療業務によって患者の体に障害を与えてしまったり、患者を死亡させてしまった場合、また看護師等が行った業務による事故でその指揮・監督責任を問われた場合などに保険金が支払われる保険のことを言います。

 研修医は基本的に指導医の指導のもとに医業を行いますので、どちらかといえば既に守られている立場です。
 ですので、研修医のうちはこの医賠責に加入しなくても問題ない、と考えている医師も多いようです。
 この研修医の立場や扱いは病院によって本当に様々ですので、一概に入らなくてもいいとは私は思っておりません。

 自分の身は自分で守る、その術を知っておかなければ、いざというときに人生が大きく狂わされるリスクはあります。それは研修医でも同じです。
 また、自身の性格にもよりますが、心配性な方は安心材料、精神安定剤のような役割としても医賠責は重要な保険になります。

 代表的な3つの医賠責の比較もしてみたので、これから加入する研修医や、初期研修終了後に加入しようと考えている方は参考にしてみてください。

 それでは順にみていきます。

結論

・研修医でも医賠責には加入した方が良い
・限度額は1事故1億円のプランでいい
・研修医なら医師会が最もコスパがいい
・研修医以外は、年齢によるので表を参照

研修医でも医賠責の加入は推奨します

 冒頭で研修医は立場上、守られているとは書きましたが、正直そこは病院によって全く違います
 そもそも研修医の働き方自体が、病院によって違いすぎるので、それをさらにわかりにくくしています。

 例えば、研修医が病院の戦力の一部として最前線で働く場合と、お客様のような状態でほとんどの業務を指導医のもとで行う場合とでは、研修医が責任を問われる可能性は全く違いますよね。

 また、医療に携わり始めたばかりで、自分の予期せぬところでミスをしてしまう可能性が高いというのを、研修医の方なら自分で感じたことがあると思います。

 さらに、科によっての診療上の注意点も専門医、専攻医より研修医の方がおろそかになりがちです。
 産婦人科や小児科での薬剤の使用方法、投与量など誰もが注意するようなことなら良いですが、各科に特有のルールを無視してしまう可能性は大いにあるのではないでしょうか。

 これらを考慮して、自身で判断すれば良いとは思いますが、自分で自分の身を守ることがこれからの時代では基本です。
 個人的には研修医でも医賠責には加入しておいた方が無難だと思います。

どこで加入するのがよいか

 さて、ここからは医賠責に加入する前提で話を進めていきますので、一生医賠責に入ることはないという方は読まなくても大丈夫です。
 研修医から加入しておきたい方、研修医中はわからないがそれ以降は加入する予定の方、既に加入しているが比較検討したことがない方は読んでいただけると良いと思います。

 まず、医師賠償責任保険を提供してくれている代表的な3つの組織があります。
 民間医局
 医師会
 各種学会
 です。

 今回はこの3つを比較していきます。

 先程、結論の部分で紹介した表を再度掲載します。

 表の縦列が限度額(1件あたりの補償最高額)で、各種組織における年間の保険料が示してあります。

 例えば、民間医局で1億円の限度額の保障を得る場合は、年間の保険料は41,660円となります。

 どの組織で医賠責に加入するのが良いかは、この表における限度額と年間保険料から考えればよいです。

 一つの指標として、過去のデータを見る限りは限度額1億円以内で90%以上の賠償責任をカバー出来ます。
 基本的にはこの1億円というのを限度額の目安にすれば良いと思います。
 ただ、どうしても心配だというかたは2億円以上も検討しても良いかもしれません。そこは自分の気持ちとの相談でしょうか。

研修医、〜30歳は医師会での加入がベスト

 表から分かる通り、研修医であれば日本医師会での加入が最もおすすめです。

 年会費込みでこの費用で済みますので、特にこだわりがない場合はこちらでよいでしょう。

 初期研修終了後も30歳までは、そのまま医師会に加入しておくのがよいかもしれませんが、一つ注意点があります。
 それは、医師会の場合は免責額が100万円かかるということです。
→つまり、保険が出たとしても100万円は自己負担する必要があるということ。

 この免責の部分も考慮すると、初期研修終了後は、免責0円の民間医局でも良いのかもしれません。

2億円以上の保障が欲しい人は民間医局がおすすめ

 過去のデータから、90%以上は1億円以下の賠償額となっています。
 逆に言えば、残りの数%は1億円以上の賠償を請求されている
ケースがあるということです。

 自分がその数%に入る確率を考慮して、2億円以上の限度額がある方が良いと思うのであれば、民間医局が保険料が安いのでおすすめです。

まとめ

 医師賠償責任保険について見てきました。

 結論としては、研修医でもそうでなくても最低1億円の限度額が必要という認識で、加入を検討すると良いと思います。
 それ以上は自分の性格や状況に合わせて考えましょう。

 可能性は低いが、もし自分が直面すると人生が狂うことを相互扶助の仕組みで助け合うのが保険です。無駄な保険に入る必要はありませんが、医賠責は必要な保険だと思います。

 これは医業に限りませんが、自分の行動のリスクを認識し、適切な対策、対処法を考える癖をつけておくのは重要ですね。

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